21世紀 2008 7 6

 21世紀は、科学技術の時代になる。
「20世紀は、軍事力の時代であったが、
21世紀は、科学技術の時代になる」と主張してきました。
 いや、もっと正確に言えば、
21世紀は、科学技術と生産技術の時代になると。
 しかし、多くの人が、こうしたことに気づかないでいるのは、
政治家や経済学者が、あるいは評論家が、科学技術や生産技術に疎いからです。
 このように考えるのは、私だけではありません。
「経済学者の中には、
これから中国経済が急速に拡大し、世界を席巻するようになると同時に、
日本経済は相対的に小さくなり続けるという人々がいる。
 これらの人々は、中国に膨大な投資が流入し、
十数億人の人々が働き続ければ、経済は、とどまることなく拡大し、
日本経済は相対的に小さくなり続けると考えている。
 だが、こうした人々は、
中国経済の拡大が、ひたすら安い労働力から成り立っていることを見逃している。
 科学技術が、この先、さらに進めば、機械やロボットによる生産が増え、
労働者が不要になってくる」
(日高義樹著 「資源世界大戦が始まった」 ダイヤモンド社)
 たったひとつの発明が世界を変えてしまった。
いや、もっと正確に言えば、
たったひとつの発明と生産技術が、世界を変えてしまった。
(発明があっても、生産技術がなければ、宝の持ち腐れとなります)
 21世紀は、過去と未来が、同時に存在する時代となるでしょう。
時計で計られる時間は同じでも、
すべての国が同じ時代を生きているとは限りません。
 さて、生産技術については、わかりにくいと思いますので、
以下の「チャーハン」で説明しました。

チャーハン 2008 1 19
 「チャーハンは、大した材料も使ってない。
その上、作り方も簡単で、誰でも知っている。
だから、素人でも作ることができる」
 しかし、素人が作ったチャーハンは、おいしくない。
プロが作ったチャーハンと明らかに違う。
 チャーハンは、材料も作り方も単純なのに、
プロと素人では、大きな差が出る。
それが、生産技術の説明となります。
 団塊の世代が大量退職をする今、
生産技術の伝承には、万全を期すべきです。
(以下の「生産技術 2005 1 23」も参照してください)

生産技術 2005 1 23
 「なぜ、トヨタ自動車の株価は、もっと上がらないのか」という話をよく聞きます。
確かに、私が考えても、トヨタ自動車の株価は、
もっと上がってよいと思います(2005年1月23日当時)。
 それは、「科学技術」と「生産技術」の違いを考えれば、そう思えるのです。
トヨタ自動車には、ハイブリッドカーという技術があります。
この技術は、科学技術で考えれば、画期的ではありませんが、
生産技術で考えれば、画期的です。
「実験室では作れても、工場で安定的に生産できるか」という問題です。
 話が抽象的になりましたので、もっと、わかりやすい話をします。
中高年の方は、休みの日に、趣味で「手打ちうどん」を作る人が増えたそうです。
 ある人が「手打ちうどん」を作ったら、たまたま、プロ並みの「うどん」ができたとします。
そこで、「それでは、もう1回作ってください」と言われたら、どうでしょうか。
おそらく、それは、できないはずです。
 ここが、素人とプロの違いです。
素人は、たまたま、偶然に、プロ並みの「うどん」を作ることがあるでしょう。
しかし、プロは、おいしい「うどん」を、毎日、何回でも、安定的に作ることができるのです。
 「科学技術」と「生産技術」の違いを考える時に、
素人が作る「うどん」と、プロが作る「うどん」で考えれば、よく、わかるでしょう。
それほど、「科学技術」を「生産技術」に昇華させるには、高いハードルがあるということです。
 「うどん」で話をしましたが、チャーハンだって同じです。
チャーハンならば、誰でも作れるでしょう。
そして、偶然にも、プロ並みのチャーハンができることもあるでしょう。
しかし、それを、毎日、毎回、安定的に作れるのか。
 毎日、毎回、安定的に作るには、長い修業が必要でしょう。
しかし、たいていの人には、長い修業をするほど、暇はありませんので、
「大した材料は使っていないのに、高い」と思いつつも、
プロが作ったチャーハンを買うことになるのです。
(確かに、チャーハンには、大した材料は入っていません。
おそらく、プロの技術を、お金を出して買っているようなものでしょう)



















































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